特発性過眠症の会
当団体は特発性過眠症のみを専門にした患者団体「特発性過眠症の会/日本特発性過眠症協会」の運営をしています。
特発性過眠症の会の詳細については下記のウェブサイトをご覧ください。
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当団体が作成した特発性過眠症のポスター:
当団体がデザインをしたこのポスターは世界で一番大きな特発性過眠症の啓発団体が監修し、特発性過眠症に関する学会や世界中の睡眠関連学会などにて掲示され、7か国語以上に翻訳、使用されています。
特発性過眠症に関する補足説明:
当団体のポスターで取り上げた特発性過眠症の定義は世界で唯一存在する特発性過眠症の学会、世界で一番大きな啓発団体、その他様々な研究で支持をされているものです。
https://www.youtube.com/watch?v=xTiUAPgsTXY
臨床現場で使用されている診断基準の特発性過眠症はこのポスターで取り上げた症状とは別の疾患です。
前述のリンクの通り現在の臨床医療現場で使用されている診断基準であるICSD3やMSLTは既に廃止が決定しています。当団体のポスターでは現在の研究で最も支持をされている特発性過眠症の定義の症状を取り上げました。
当団体がポスターで取り上げている特発性過眠症は様々な研究で医学的に定義可能な一つの疾患として存在すると考えられています。
一方で、臨床医療現場で診断を受けている特発性過眠症は一つの定義可能な疾患ではなく、全く関係のない別の疾患の集合体であるという説が正しいように感じられます。
今現在臨床医療現場での特発性過眠症の診断にはICSD3という診断基準とMSLTという検査基準(健康な一般人口の22〜30%が陽性になる検査)が使用されており、現在の特発性過眠症はその診断基準自体が疾患を定義しているような状態です。
PSG+MSLT検査(健常者の一般人口の22〜30%が陽性になる検査)が陽性であることを「過眠症」と定義することは体温が36.8以上で体調不良を訴える全員を「発熱症」と定義していることに似ています。
現在の臨床現場で診断を受けている「特発性過眠症」の患者様は症状の幅がとても広いです。
健常者の睡眠不足症候群が強く疑われる方、普段0〜3時間睡眠でブラック企業で働いている方、普段5時間くらいの睡眠時間しか取れない進学校の受験生の方が、日中に眠くなる、休日に長時間睡眠を取る(後に長期で毎日9時間睡眠が取れたら眠気が治る)という症状の方で現在の睡眠障害国際分類ICSD3のMSLTの診断基準を満たしてこの疾患の診断を受けています。
一方で、毎日12〜20時間以上を数年間以上眠り続けている方々、不登校で生まれてから一度も学校に行ったことがない方、外出先でも寝てしまうので家族の介助がないと一人で外出すらできないという方もこの疾患の診断を受けています。
また、現在、この疾患の診断を受ける方は発達障害の方々が多い印象があります。
このような状態ですので、臨床医療現場で特発性過眠症の診断を受けている個別の症例の眠気その他の併発症状は全く一貫しませんし、ポスターに記載してある症状とは全く別であるケースが多いと思います。
現在の特発性過眠症の診断基準に関して様々な文献で別の診断基準が記載されており、一つの文献で定義された診断基準の解釈の幅は広く、日本国内の専門医のお医者さんも定義の解釈に関して個人により意見が変わります。こういった現状ですのでこの疾患は一つの定義を取り上げると「こちらの有名なあの学会の先生はこう言っていたからその先生の言っているそれは違う」「この学会のこの文献ではこういう風に書いてあるので、その文献は間違えている」と永遠に議論されてしまう傾向にあります。
「有名な学会の先生、学会認定医さんや専門医さんに診断を受けていれば間違えない」「有名な学会の有名なあの先生がこういっているから」と議論される方も多くおります。しかし、実際の臨床の医療現場で1人の患者さんが同じ検査結果を持参し別の病院を受診すると別の病院で別の診断になるような現状です。現在、特発性過眠症の定義や診断基準に関し「この説が正しい」を主張する「有名な学会の有名な医師」「有名な認定睡眠専門医」は多数存在し、その全員が別の主張をしている状況なのです。
現在、多くの睡眠専門医さんは特発性過眠症の診断基準の問題を認識しています。特発性過眠症の定義には問題があり誤診が多いということを否定される専門医さんはあまりいません。
しかし、一部の睡眠専門医さんは特発性過眠症の研究発表や検査基準の問題を把握していない方がいらっしゃいます。そのことが原因でこのような混乱が起きているようにも感じられます。
特発性過眠症の診断に関して日本国内では国際睡眠障害分類ICSD3の診断基準を使用するクリニックさんが多く存在します。
しかし、その診断基準は世界で一つしか存在しない特発性過眠症の専門学会でも廃止が発表されhttps://www.youtube.com/watch?v=xTiUAPgsTXY
出版元すらも否定的な見解を示しており、ICSD3の診断基準改定に関する公式会議でも改定案が発表されているものです。https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1087079220300496
前述の通り、特発性過眠症は診断基準に大きな問題があり、現在の検査基準(PSG +MSLT、検査前に毎日8時間以上の睡眠)では健常者の約22〜30%が特発性過眠症の検査基準を満たします。
https://www.hypersomnolenceaustralia.org.au/single-post/2018/11/06/dr-rye-hf-conference-2018
現在の特発性過眠症はPSGという夜間の睡眠をモニタリングする検査で夜間の睡眠に問題がなく、MSLTという日中に「今から寝てください」と指示をされて入眠の長さを検査する方法で平均入眠時間が8分以内であると特発性過眠症が陽性であると診断を受けます。しかし、このPSG検査で夜間の睡眠に問題がない毎日8時間睡眠を取れている健常者の一般人口でも「今から寝てください」と指示をされ平均8分以内に入眠をする方が多く(人口の22〜30%)いらっしゃいます。この診断基準の問題は素人でも容易に理解ができるものです。
こういった状況ですので、今現在使用されている特発性過眠症の臨床医療現場の診断基準では誤診が非常に多いのです。
例えば、2018年頃にNPO法人日本過眠症患者協会が集計公開したアンケートでは、現在診断を受けている患者の普段の睡眠時間の最頻値が6時間半であり、患者の半数が平日3日以上5時間睡眠「1年以上の長い期間で十分な睡眠(約8割の患者が8時間、約9割の患者が9時間の以上の毎日の平均睡眠時間)が取れていた時は眠気を感じていなかった」と患者さんご本人が証言しているような状況でした。
必要な睡眠時間は個人により異なり毎日7ー9時間が正常範囲と言われております。必要な睡眠時間がやや多い(8時間半以上)方が8時間以下の睡眠時間を取るように社会的に強要され日中の眠気や長時間睡眠の寝溜めを発症していると思われるケースが特に多く感じられます。
また、毎日8時間以上の睡眠時間をとってこの疾患の診断を受けている患者さんには眠気を引き起こすことで知られる別の疾患(夜間の睡眠に問題を引き起こす疾患、ADHDやASDなどの発達障害、アレルギー、免疫疾患、結合組織疾患など)を併発している方が多くいらっしゃいます。
実際の臨床医療現場では特発性過眠症の診断に鑑別診断を十分に行えない現状です。現在の睡眠専門医療機関で検査が施行できる眠気の原因はとても限られており、現状ではその睡眠科の検査で原因が特定できないその他の眠気の原因の全てが特発性過眠症というカテゴリーに命名されているような状況に感じられます。
当団体の役員は2011年から過眠症の活動を行なっています。過去に特発性過眠症の診断を受けてきた患者さんは、例え有名な先生、学会の専門医の先生、複数の先生に診断を受けていても、後に別の疾患(内科疾患や免疫疾患など)であったことが判明した患者様が何人もいらっしゃいます。
そして、現在、この疾患の診断を受けている方は睡眠不足症候群の誤診が本当にとても多いです。毎日8時間睡眠が十分ではない一般人口は約20〜30%存在するのに、毎日8時間睡眠を取ることが睡眠不足を除外した条件となっている病院が多くあります。今まで過去に特発性過眠症という診断を受けていた患者さんから「睡眠時間を長期に渡り長くとっていただけで眠気が無くなった」という報告が多数ありました。
現在の特発性過眠症の診断基準は本当に問題です。例えば、この疾患の検査は偽陽性率だけではなく偽陰性率もとても高いのです。
特発性過眠症は1950年代の発見当時、毎日12−14時間睡眠、睡眠酩酊、起床困難、1時間以上のすっきりしない昼寝、寝ても寝ても覚めない認知機能障害などの一連の一貫した症状を示す疾患のことを示す病名でした。この本来の特発性過眠症はPOLYSYMPTOMATICという名前で呼ばれていたことがあり、発見当初から何度も医療文献に登場し、現在もこの一連の症状を示す病態に関する存在が肯定的に支持をされております。
従って、現在の研究ではこの形態の特発性過眠症がいわゆる「本物の特発性過眠症」であるという説が支持を受けています。
https://www.youtube.com/watch?v=xTiUAPgsTXY
この長時間睡眠を伴う形態の特発性過眠症、本物の特発性過眠症過眠症POLYSYMPTOMATICと呼ばれた症例(=毎日12-14時間の長時間睡眠と起床困難が主訴の患者様)は現在医療現場で採用されているMSLT検査(=入眠の速さが平均8分以内であるかどうかで過眠症を診断する検査)で多くが陰性になります。
過眠の症状は様々な別の形態があります。MSLTの検査は健常者の睡眠不足症候群のみに有効性が認められており、
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1087079220300496
過眠症の診断には不適切な検査であるということが多く研究で支持をされています。https://www.hypersomnolenceaustralia.org.au/single-post/2017/12/29/idiopathic-hypersomnia-a-comprehensive-review
MSLTの「日中の入眠が早い」という検査基準に合致する方は睡眠時間が短い方が多い傾向にあります。
しかし、長時間睡眠を取る多くの患者さんは現在のMSLT「入眠が早い」という基準では陰性になってしまうのです。
こういった状況ですので、長時間睡眠を伴う特発性過眠症である「本物の特発性過眠症」の症状に合致する患者さん、昔の診断基準で特発性過眠症の診断を受けてきた患者さんは今の診断基準では「特発性過眠症ではない」と診断をされてしまう症例が多くあります。
特発性過眠症の診断基準は歴史上常に問題であり、睡眠障害国際分類の診断基準は今まで3回変更になっており、現在の診断基準にも改定発表があります。
特発性過眠症の診断基準は時代によって変わり、昔の診断基準で特発性過眠症の診断を受けていた患者さんが今は診断基準が変わったので特発性過眠症過眠症ではないといわれたり、逆の患者様も多くおります。同じ時代の同じ診断基準を採用するはずの同じ病院ですら個人の医師によりこの疾患に関する定義や解釈が変わります。そして現在の特発性過眠症の診断基準は既に学会等で問題視され、改定発表があるので診断基準は今後もまた変わっていくことが予想されます。
https://www.hypersomnolenceaustralia.org.au/single-post/2018/11/06/dr-rye-hf-conference-2018
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1087079220300496
特発性過眠症の診断を受けている方の中には一部の研究を取り上げて「ここでこういう発表がある」と議論される方が多くおります。
しかし、特発性過眠症は歴史上、様々な別の研究団体や研究者から独自で解釈定義した別の診断基準を用いられ、定義、診断、研究、議論をされてきた疾患です。
現在の臨床医療現場で特発性過眠症の診断を受けている多くの患者さんは現在行われている特発性過眠症を対象にした大半の研究の被験対象に含まれておりません。 診断基準が違うのであれば同じ名前の診断名でも別の疾患です。従って、当団体ではこういった状況でご本人の症例が研究対象になっていない別の疾患の研究を取り上げて「この研究でこの発表がされている」と議論するのはあまり意味をなさないことですとお伝えしています。
今現在特発性過眠症の診断を受けている方の典型例は過去に毎日8〜9時間寝ていても眠くなかった方が就職などの理由で毎日7時間しか睡眠時間が取れなくなり、その後に毎日12−14時間の睡眠時間、起床困難と睡眠酩酊と寝ても寝ても目が覚めなくなったという発祥経緯の方々です。これらの症状は一見「本物の特発性過眠症」とも思えます。しかし、その症状は睡眠不足症候群の可能性が高いことは言うまでもないでしょう。こういった現状から本物の特発性過眠症の定義を満たす患者は今実際の医療現場で診断を受けている中の1%にも満たないとも予想されています。
当団体では眠気を引き起こす様々な疾患が特発性過眠症やロングスリーパーというカテゴリーに括られてしまい、個別の症例に対する診断が受けられない、個別の症例にあった原因対処治療を受けることができない現状を改善するために研究機関などと協力をして「眠気を引き起こす疾患リスト」の作成を行なって活動しております。
当団体の特発性過眠症に関する活動については日本特発性過眠症協会・特発性過眠症の会のHPをご覧ください。