
ロングスリーパーの会
当団体はロングスリーパーや長時間睡眠体質の方のみを専門にした患者団体「ロングスリーパーの会/日本ロングスリーパー協会」の運営をしています。
ロングスリーパーの会の詳細については下記のウェブサイトをご覧ください。
ロングスリーパーの会に入会希望の方は入会フォームからご入会ください。
当団体が作成したロングスリーパーのポスターとパンフレット:



ロングスリーパーに関する補足説明:
現在、ロングスリーパーは定義に問題を抱えています。
例えば、ロングスリーパーは睡眠障害国際分類第三版ICSD3上で「正常範囲の亜型」と記載がされています。
ロングスリーパー(長時間睡眠体質)は本人に必要な睡眠時間が取れれば普通の人と変わらない生活が送れることから、日本国内では「過眠症ではない」や「病気ではない」という定義をされている傾向にあります。海外では「健康な過眠症」と呼ばれ、病気であるか体質であるか議論中のようです。
検査に何も異常がなく数十年間以上毎日15ー20時間眠り続けて普通の社会生活が送れない人々が「病気ではない」と定義、診断を受けるのは納得がいかないものです。しかし、現状のロングスリーパーは重症例であっても病気とは認めてもらえず、障害手帳を取得することもできず、社会福祉が何も受けられない状況なのです。
ロングスリーパーと過眠症の違いや定義に関して
「睡眠時間が短くても日中の眠気があれば過眠症や病気である」→特発性過眠症、ナルコレプシー2型
「長時間寝て日中の眠気が残らないから過眠症や病気ではない」→ロングスリーパー
という診断基準が使用されています。
しかし、この診断基準の線引きはとても理不尽にも感じられます。
例えば、現在過眠症の診断に使用されている主な診断基準は「日中に眠気を感じること」「日中の眠気を測するMSLT検査で陽性であること」です。(※病院によって診断基準が異なります)
しかし、この過眠症の診断検査であるMSLTは健常者の睡眠不足症候群の誤診が多いことが知られています。
MSLT検査は睡眠時間が短い場合に陽性率が上がるので、普段ブラック企業勤務、受験勉強などで1日0−3時間しか睡眠時間が取れていない人々が検査前のみ8時間睡眠をとって過眠症の診断を受けていたりします。
一方で数年間毎日18時間眠り続けているロングスリーパーの重症例の方は「1度目が覚めた後の日中の眠気はない」というケースが多く、過眠症の診断基準である日中の眠気を測るMSLT検査の基準を満たさないケースが多いのです。
また、MSLTは睡眠障害国際分類の改定会議においても「健常者の睡眠不足の重症度判定のみに有用性が認められている」と発表されており、
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1087079220300496
このMSLTの検査結果が陽性の同一人物が夜間の睡眠時間を延長するだけで陰性になることがある検査です。
A Two-Week Sleep Extension in Sleepy Normals Timothy Roehrs, Ellisa Shore, Kate Papineau, Leon Rosenthal and Thomas Roth Henry Ford Hospital, Sleep Disorders and Research Center, Detroit, Michigan, U.S.A.
睡眠の問題を併発することで知られる疾患は多くあります。(例:ADHD、結合組織疾患)
しかし、それらの中の同一疾患の患者さんのグループで臨床医療現場でロングスリーパーもしくは過眠症の診断を受けている患者さんの傾向として、
・1日の総合睡眠時間が短いグループは日中に眠気があるのでMSLT陽性→過眠症の診断を受けている。
・1日の総合睡眠時間が長いグループは日中に眠気はないのでMSLT陰性→ロングスリーパーの診断を受けている。
ように感じられることもあります。
また、真のロングスリーパーの方々が臨床医療現場でロングスリーパーの診断を受けているケースはとても稀です。
睡眠障害国際分類ICSD-3には「特発性過眠症とロングスリーパーの見極めは非常に難しい」と記載されており、ロングスリーパーの多くの方々は社会的な事情で毎日10時間以上の睡眠時間が取れず相対的な睡眠不足に陥り日中の眠気や自律神経失調症などの症状で特発性過眠症やナルコレプシーの診断を受けていることが典型的です。また、普段の睡眠負債を休日などに返済する症状で後述のクライネ・レビン症候群(反復性過眠症)など別の過眠症の診断を受けているケースも多くあります。
従って、現在ロングスリーパーの診断を受けている方々は元々別の過眠症の診断を受けていた方が長期にわたり12-18時間以上の長時間の睡眠を取るようになって、ロングスリーパーであることに気づいたというケースが一般的です。
実際にいらっしゃるロングスリーパーの多くの方々はその眠気の原因を特定するために過去に複数の医療機関を受診しています。しかし、受診するたびに別の病院で別の診断名や原因を告げられ結論が出せない状態です。
今現在ロングスリーパーという診断を受けている患者さんの多くには発達障害(グレーゾーンで傾向がある方を含む)、特に入眠潜時が長くMSLTが陰性になりやすいASD自閉症スペクトラムの方がとても多くいらっしゃいます。
睡眠障害国際分類ICSD-3には「長時間の睡眠をとる人のほとんどが元来の長時間睡眠者なのか、睡眠時間の過剰をもたらす障害を持っているのかよくわかっていない」と記載されています。
私が接してきたロングスリーパー長時間睡眠体質の診断を受けている多くの患者様はその症状を引き起こす別の原因疾患をお持ちです。しかし、その多くの患者様が現在の医療制度でその疾患を検査をされる機会にたどり着けていないため発見や診断がされていない、もしくはその原因疾患が現在の医療制度ではっきり定義されていないことのみで「ロングスリーパー」というカテゴリーに含まれているという印象を受けます。
当団体のロングスリーパーについての活動は日本ロングスリーパー協会・ロングスリーパーの会のHPをご覧ください。